東の「長命寺」と西の「道明寺」

東の「長命寺」と西の「道明寺」

さくら餅は2種類ある!?

さくら餅は餅を塩漬けで香る桜の葉で包んだ和菓子の一つで、春の季語でもあります。

さて、桜餅には二種類あるのをご存知ですか。

東の「長命寺」と西の「道明寺」です。

関東のさくら餅は長命寺

長命寺のさくら餅「長命寺」は、小麦粉の生地を焼いた皮で餡を巻いて、さらに塩浸けの桜葉で巻いて作ったものです。江戸時代、東京向島の長命寺の門番・山本新六が、桜の落葉掃除に悩まされて考案して売り出されたことから「長命寺」と呼ばれているのだそうです。関東ではさくら餅と言えばこの「長命寺」です。

関西のさくら餅は道明寺

道明寺のさくら餅一方、「道明寺」は、もち米を蒸して乾燥させ粗挽きした粉(大阪の道明寺で作られたため道明寺粉と呼ばれている)で皮を作り、餡を包んだお餅に塩浸けの桜葉で巻いて作ったもので、道明寺粉のつぶつぶした食感が特徴です。

「長命寺」「道明寺」どちらにも共通する事が桜の葉の塩漬けで包んでいること。

さくらの葉はやわらかくて毛が少ない、オオシマザクラが主に使われており、毎年収穫した葉を半年ほど塩漬けにすることでクマリンという芳香成分がつくられ、あの独特の風味を醸し出すのです。

クマリンは、生きた花や葉の中では糖と結合した「配糖体」という状態で存在するため、実は美しく咲いている生の桜の花からはあの香りはほとんどしないのですが、「塩漬け」にされると糖が分離してクマリンが生成されて、甘い香りを放つ状態になります。

私たちが「桜の香り」として連想するのは、生きた桜の香りではなく、桜餅を包む塩漬けの桜の葉や、桜の花茶やアンパンに使われる塩漬けの桜花の香りだったのですね。

このクマリン、前にお話したモグサの精油成分と同じように、芳香を持つ化合物で、抗菌作用、神経鎮静作用、血圧低下作用、去痰咳止め作用、二日酔い防止作用、リラックス効果などがあると言われています。

確かに、あの香りには何か気持ちが落ち着く感じがしますよね。

それから一つ気になったのは、二日酔い防止作用。花見の席で桜餅を食べれば、二日酔いを防ぐことができるかもしれません。ただし、このクマリンは肝毒作用があるそうです。肝臓のためには大量に食べ過ぎない方が良さそうです。